軍人史跡　高知市南方面

◆高知市長浜にある雪渓寺は長宗我部信親の墓所のある事で知られる寺である。
その北側に長浜忠魂墓地があり長浜出身の英霊が幕末の志士島浪間をはじめ祀られている。
島浪間の墓の背後に建っている墓がこの墓域の最上位「陸軍少尉 正八位勲六等功五級 大井潔墓」である。

大井潔（おおい きよし）
｛最終階級｝陸軍歩兵少尉　正八位勲六等功五級
｛生没年｝明治７年１月１５日〜明治３７年１１月２６日　

≪経歴≫
大井正雄と小島氏の子にして長浜村に誕生。
２７年教導団歩兵科を卒業し陸軍歩兵二等軍曹に任じ翌年一等軍曹に進む。
日清戦争に出征し功を以て勲八等白色桐葉章、金若干を賜る。
３７年歩兵少尉に進み正八位に叙され日露開戦により歩兵第２２連隊に属し旅順攻囲戦に於ける東鶏冠山突撃にて３１歳で戦死、功を以て勲六等功五級に叙し單光旭日章を賜る。
子は無く妹の音美が家を継いだ。
【大井潔墓碑銘 参考】

◆高知市の桂浜から浦戸大橋を渡ると種崎である。
橋を渡りきるとすぐ墓所が広がるのが目に入ると思うがこの中に「陸軍歩兵大尉 正七位勲六等 安岡穂造墓」と記された墓を発見した。
墓石は既に土台から外され一族の者の墓石と一緒に積み上げられている状態であった。
この安岡大尉についてはいまだ経歴等は定かではないが、没年は「明治三十九年九月三十日卒」とあり明治期の軍人である事は間違いない。
この墓の状態からして御子孫はもはやいないのであろうか、安岡大尉についてまた何か発見があればこちらに記載することとする。

◆高知市の桂浜にほど近い場所に一領具足の供養の為に建てられた六体地蔵や一領具足供養の碑などがある。
そこから西側に拡がる墓所の一角に「海軍少将 従四位勲三等功三級 吉松�}」の墓を発見した。
墓碑銘を記し吉松少将を後世に語り継ごう。

君は浦戸の人吉松八蔵の次男幼にして穎悟 大正九年海軍兵学校入校 仝十三年少尉任官 爾後累進 昭和十九年大佐となる その間高等科航海術を修め各艦種の航海長を歴任し上海事変 支那事変に功績をたて 大東亜戦争においては終始第一線に活躍 布哇海戦及び南太平洋海戦に利根航海長として武勲顕若につき両度桿状を授与せらる 後金剛副長となり 昭和十九年十一月二十一日 仝艦台湾沖航行中 敵潜水艦の魚雷をうけ沈没の際戦死す 享年四十二 即日累次の勲功により少将に昇進 従四位勲三等功三級に叙せらる
昭和三十一年十月 山崎重暉撰並書